南の国の風と共に

南の国の教会で働いてきたミッショナリーのメモ

宣記18【1期】現地の賛美を通して

  A国の教会に出席を始める中で、現地の教会で歌われている賛美歌の多くが今まで聞いたことのないメロディであることに改めて気づきました。最初は独特なメロディのように感じ、なかなか慣れなかったのですが、次第に自分の中でも懐かしく思えるようなメロディへと変化していったことを思い出します。

1.昔から伝わるメロディ

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  A国の教会でよく使われている賛美歌ですが、主に2つの部分に分かれています。ひとつは日本の教会でも馴染みの深いメロディの賛美歌が多い部分で、主にアメリカなど西洋の教会で生まれ伝えられてきたものです。

 そしてもうひとつの部分は、A国に昔から伝わる伝統的な曲の歌詞を聖書的な歌詞に変えて賛美歌としたものです。礼拝や集会でもよくこれらの賛美歌を歌います。

 日本に昔からあるメロディを賛美歌に取り入れて使用することはあまりない日本の教会とは対照的な感じがします。最初、A国の教会で聞きなれないメロディを耳にした時は不思議な思いがしましたが、これにはいろいろな理由があることを知りました。

 かつての一時代に学校教育が廃止されたA国では、その後も学校や教師が不足し、教育に問題を抱えていました。他にも様々な理由の中で、特に年配の方々で文字を読むことができない方々が多くいます。

 教会の近隣に住む方々へトラクト(チラシ)を渡して教会の案内をすることがありますが、特に年配の方々に「私は文字が読めないから、チラシはいらない」とよく言われたことがありました。

 教会に来られている方の中にも、賛美歌の文字を見ながら歌うことが難しい方がおられます。ましてA国の人たちには馴染みがない西洋発祥のメロディの曲を歌詞を見ずに歌うのは簡単ではありません。

 しかし、もしその国に昔からある伝統的なメロディだとしたらどうでしょうか。西洋のメロディよりも抵抗なく心にすっと入ってきます。そして歌詞が読めなくても、幼い時から親しんできたメロデイが自然に耳から入って口ずさむことができます。

 賛美歌は歌詞が大切なのですが、A国の教会で使っている伝統的なメロディ賛美歌の歌詞は、聖書の大事な教えが要約されたものとなっています。ですから、聖書が読めなくても、耳から入ってきた歌詞を覚えることで、自然と聖書の大切な教えが頭に残るように工夫されているのです。

 最初は聞きなれない現地のメロディでしたが、そのうちに聞きなれてくると、とても美しいメロディであることに気がつきました。今では、賛美歌の歌詞をA国語から日本語に訳し直して、日本でもA国のメロディで賛美したいと個人的に思うほどです。

(下に動画を貼り付けていますので、ぜひ一度A国の賛美歌をお聞きください。)

 

youtu.be

 

2.音楽クラスを始めて

 第2期の話になりますが、A国の地方の街でミッションを始めた当初、近隣の子供たちが教会に集まってきました。日本の教会、また知人から、鍵盤ハーモニカ数台や楽器の寄贈がありましたので、音楽に関心がある子供たちを対象に、音楽クラスを始めることとしました。

 A国のほとんどの小学校には、音楽の授業がありません。ですから、音楽クラスに集まる子供たちには音符の読み方、ドレミ、そしてリズムなどを一から教えることになりました。

 目標は教会学校で特別演奏をすることとしました。何人かは練習を頑張って、弾くことができるようになったのは嬉しいことでした。鍵盤ハーモニカは、電気を使わなくても音が出るので、便利な楽器のひとつです。というのも、少し前までこの国では、特に地方にいくと電気がない場所もあり、電気が必要な楽器を使うことができなかったという事情もあります。

 地方の多くの教会では、楽器が無いため全員アカペラで歌ったり、クラシックギターを用いたりしています。またA国の伝統的な楽器を使っているところもあるように聞きます。

 所変われば、いろんな賛美の仕方があります。その国の人々が、その国の楽器を用いて、その国のメロディを通して、その国のスタイルで賛美する賛美。神様はそのような賛美を喜んで受け取ってくださることと思います。

 


鍵盤ハーモニカ特別演奏

 

3.楽器の習得を通して

 A国に行ってからというもの、いつか伴奏のためにクラッシックギターを弾けるようになりたいと長らく思っていましたが、一から練習を始めてマスターするというのは思いのほかハードルが高く、なかなか手が伸びませんでした。

 やがて地方の街で子供達対象の教会学校を始めた時に、子供たちに賛美歌の歌い方を教えましたが、伴奏する楽器がないと歌いずらいように思いました。そこで、ギターよりも弦が少ないウクレレであれば、練習はしやすいのではと考え、伴奏のために四十の手習い。一からウクレレを始めてみました。

 周りに弾き方を教えてくれる方も、また参考にする本なども無かったのですが、今は動画サイトにて自習できる映像がたくさんあり、そのような映像を見ながら練習を繰り返しました。今は海外でも場所を選ばずに学べる便利な時代です。

 次第にコードを弾けるようになり、教会学校の子供たちとウクレレを使って一緒に歌うことができるようにまでなったのは良い思い出です。

 宣教の働きのためには、やはり楽器は何かできた方が良いなと今さらながらに思わされています。

 


教会学校賛美

 

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